やまなかしっき







製材(せいざい)

 製材所は、山の中にあることが多いです。それは、乾燥による割れを防ぐためです。
 原木を大きく輪切りにし、使い道に合わせて、ムダが出ないように小さく分けて切ります。
 変形しにくい良い木を仕入れるには、長年の経験が必要です。








木取り(きどり)

 丸
判(まるばん)を使って、これから切り出す素材の大きさにしるしを付けます。きずが付きやすく割れやすい、芯(しん)の部分はさけます。
 山中漆器では、特に「縦木取り(たてぎどり)」という切り方をすることで有名です。他の産地でよく行われる「横木取り」に比べ、材料のムダが多くなりますが、くるいの少ない、いい素材を作ることができます。
 短い時間で木のぐあいを見抜き、また、少しでもムダが出ないように印を付けるには、やはり長年の経験が必要です。







荒挽き(あらびき)

 木取りした木は、うまく水分が抜けるように、大まかに仕上がり予定の形に削られます。
 うまく水分が抜けないと表面割れなどをおこしてしまうので、この作業は大急ぎで行います。
 この後行われる乾燥の作業には、自然の空気の中で長い時間をかける「天然乾燥」と、道具を使って乾燥させる「人口乾燥」があります。
 温度と湿度をいつも同じにしてあげないと、割れたり、曲がったりしてしまうので、とても神経を使います。








仕上げ挽き(しあげびき)

 素材をろくろの「はめ木」にはめこみ、カンナと呼ばれる道具などを使って、完成の形に近づけていきます。
 おすいもののおわんや、なつめなどの合口物(あいくちもの:いれものにふたがある物)は、これからあとの下地や塗りの厚みまで計算して仕上げられます。
 カンナはすべて木地師(きじし)の手作りです。










加飾挽き(かしょくびき)

 カンナや、二枚刃とよばれる刃物を使って、飾りの筋を素材に加えることを「加飾挽き」と言います。山中漆器の大きな特徴の一つであり、全国的にも有名です。
 「縦木取り」をした木地は、木目が単調なので、こういった筋目を加えるようになったと言われています。
 加飾引きをしたものに漆をすりこんでからふきとり、筋目が浮き出てくるようにして完成、という場合もあり、「摺漆(すりうるし)」や「拭漆(ふきうるし)」とよばれます。







下地(したじ)

 おわんのふちや、高台などの割れやすい部分に布をはって強くする「布着せ」や、うるしと「砥の粉」(とのこ:土を焼いたもの)をまぜたものをぬっては研ぎ、研いではぬるということをくり返します。
 表面のでこぼこをなくす「下地つけ」など、20もの工程があります。









上塗り(うわぬり)

 黒色や朱色のうるしをハケでぬり、回転乾燥風呂に入れて乾かします。
 うるしを同じ厚さでぬり、ハケのあとやほこりやちりを付けずに仕上げるには、長い経験と高い技術、そして、細心の注意が必要です。
 上塗りのハケは、若い女性の髪の毛がもっともよいとされています。






加飾(かしょく)


 漆器づくりには、上塗りで完成させるものと、その上に加飾(かしょく:飾りを加えること)をするものがあります。蒔絵(まきえ)、沈金(ちんきん)など、数多くの技法があります。
 絵漆(えうるし)でもようを描き、うるしが乾ききらないうちに金粉や銀粉、色粉などを蒔(ま)きます。







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