七尾の青柏祭
   ななおのせいはくさい



朝山出立ち(あさやまでたち)

 5月4日、真夜中の午前1時です。
 府中町のでか山が大地主(おおとこぬし)神社に向けて出発します。
 この時を心待ちにしていた千人以上のでか山好きな人たちが、木遣(きやり)の音頭である「エンヤ!」のかけ声に合わせて、でか山を引っ張ります。




七尾の細い道をのし歩くでか山

 高さ12m、重さ20トンの日本一大きな山車(だし)である、でか山の魅力(みりょく)は、家のかわらや電柱にぶつかりそうになりながら進むところにあります。
 ときおり、ぶつかりそうになるのですが、てこと呼ばれる道具を使って車輪をすべらせ、方向を変えていくのです。






辻(つじ)回し


 でか山の醍醐味(だいごみ)の一つに辻回しがあります。
 辻回しは陣車(じぐるま)を使って、道を90度曲がることですが、このときのでか山がきしむ音、回転するさまは勇壮(ゆうそう)そのものです。






てこ

 直進するでか山が家や電柱にぶつかることのないよう、微妙(びみょう)なかじ取りをする道具がてこです。
 てこは木でできていて、油がついています。そのため、車輪がてこの上に乗ると、タイミングよく車輪が横すべりします。それによって舵取(かじと)りができるのです。






子ども木遣り(きやり)


 伝統あるでか山を支える後継者(こうけいしゃ)を育ていく目的も兼ねて続けられています。
 この子供木遣りを経験すると、大人になってからでか山の若衆(わかしゅう)となってくれる人が多くいます。
 国指定の無形文化財(むけいぶんかざい)となっている青柏祭を残していくために、後継者育成は重要な課題です。




陣車(じぐるま)


 辻回し(つじまわし)ができるのは4つの車輪以外で、でか山の中にある陣車と呼ばれる少し小さい車輪があるからです。
 90度の方向転換をするときには、前の2つの車輪を上げ、この陣車をおろすことによって回転することができるのです。







大でこ


 陣車をおろすためには、前輪を持ち上げる必要があります。
 そのため、長さ7mくらい太さ25cmくらいの大でこと呼ばれる大木に若衆が乗り、てこのはたらきを利用して前輪を持ち上げます。
 大でこの先は地上から3mくらいのところにあるため、若衆にとっては危険でもあり、勇気をみせる見せ場でもあります。





 もどる