こぞうとあずきもち

昔、昔、山寺におしょうさんと小僧が住んでいました。おしょうさんは、もちが何よりも好きでした。
それで、ある時、だんかにおつとめに行った帰りに、重箱にいっぱい小豆もちをもらって来たのですが、小僧にわけてやる分がなかったので、たなの奥にそおっとかくして、そして、一人こっそりと食べていました。
けれども、小僧はいつの間かそれをのぞき見して、「ああ、あのもちがほしいな。あのもちがほしい。」と思っていました。
そんな時、また、おしょうさんはだんかへおつとめに行かれることになりました。
「留守をたのむぞ。」
おしょうさんは出かけられて、山寺に一人留守番をしていた小僧は、「そうだ。おしょうさんのいない今のうちに、あの小豆もちを一つだけもらおう。」と思って、たなの奥から重箱をおろして、ふたを開けて、あの小豆もちを一つ、こそこそこそと食べました。
「ああ、おいしかった。もう一つだけならおしょうさんもわからないだろう。」と思って、また一つ、こそこそこそと食べました。
「ああ、おいしい。」
それでやめようと思ったのだけど、あまりにもおいしいもので、もう一つ、もう一つ、もう一つ、重箱に残っていた小豆もちを全部食べてしまいました。
もう、重箱のすみに小豆しか残りませんでした。
小僧は、全部食べてしまったので、心配になってきました。「おしょうさんが帰って来たら、どう言ったらいいのだろう。」と思いました。
それで、しばらく考えました。「あっ、そうだ。おみどうの金仏様のせいにしてやろう。」と思いました。そこで、重箱のすみの、残っていた小豆をおみどうへ持って行って、金仏様の口のまわりに、べったりつけました。そして、後は知らんふりしていました。

ここまでがお話の前半部分




小僧と小豆もち(後半)

後半のお話を聞いてみましょう。
小僧は、おしょうさんをうまくごまかせたのでしょうか。

後半部分