しらびくに




椿が原 〜椿街道〜  
 
富来の海岸ぞいや平地には椿の群生地(ぐんせいち)が多く見られます。
「椿が原、椿街道」と呼ばれ、春になるとたくさんの赤い花をつけ、人々に春の訪れを告げてきました。
平地では開墾(かいこん)のため伐採(ばっさい)された所もありますが、今でも久喜(くき)から門前にかけて約8キロに渡り、ところどころに椿の群生が見られます。




「白比丘尼」(しらびくに)の挿絵(さしえ) 
 
椿の木には、こんな言い伝えがあります。
「昔、白比丘尼や八百比丘尼(やおびくに)と呼ばれた美しい尼(あま)さんが日本海側の半島や港に、椿の木を植えて歩いたそうな。」


民話「白比丘尼」(方言編)
椿が咲き出すと間もなく、春がおとずれます。
白比丘尼は、今年もいつもと変わらぬ17、8歳の妖精(ようせい)のような姿で椿を手にして、この富来の海辺にも現れました。
民話の語りを富来の方言で聞いてみましょう。
 


民話「白比丘尼」(共通語編)
富来地方の方言を共通語に直すと、だいたい、こうなります。
方言のものと聞き比べてみましょう。
 



白比丘尼像

白比丘尼はあまりの長生きに、故郷に知る人もいなくなり、尼になって諸国遍歴(しょこくへんれき)の旅に出ることにしたそうな 。
石川県内には他にも、白比丘尼が植えたとされる椿や杉の木が残っています。
輪島の縄又(なわまた)には白比丘尼の像がまつられています。