ててっぽっぽ(やまばとふこう)




金沢市大樋町伝承(方言編) 
昔、大変親不孝な子供がおったがです。そしたら母親がその子供に向こうて、いかにも教育をしてもこいつは利かんやつでどうにもこうにも手に負えんヤンチャ者なんで、自分が死んだら、当たり前ならその時分、山へ持ってって墓を作って葬ったわけです。ところがその母親が、この子はヤンチャ者で何でも逆しまに言うやら、どうすることもできんと。 『金沢の昔話と伝説』(金沢市教育委員会・金沢口承文芸研究会)より





金沢市畝田町伝承(方言編) 
昔、あったといや。息子がなんのいいつけも親の反対ばっかりしるがやて。ほしたら親な死んしなねえ。 「おら死んだら海の岸に埋ずんでくれ」ていうたて。なんでも若いとっから一生がいだ親の反対ばっかししとったもんやで、おさみやさけ、山に埋めてくれと言やあ反対すっさけ、海の岸に埋めて言や山に埋めてくれるやろうと思うていうたがに、息子な親の一生のおさみやと思うて親のいうたとおりにしたわけや。 『金沢の昔話と伝説』(金沢市教育委員会・金沢口承文芸研究会)より




金沢市大樋町伝承(共通語編)
昔、大変親不孝な子供がいました。その子供は、母親が何を教えても全く言うことを聞きません。どうにもこうにも手に負えないひねくれ者でした。当時は、人が死ぬと、山へ持っていって墓を作って葬るのが普通のことでした。でも母親は、息子がひねくれ者で、何でも反対にするから信用できません。だから、自分が死んだら山へ埋めてくれと頼んでも、きっと川の堤防に埋めるだろうと思いました。





金沢市畝田町伝承(共通語編)
昔、こんな話がありました。親のどんないいつけも、わざと反対にばかりする息子がいました。ある時親は、自分が死にそうな時に、「わたしが死んだら、海の岸に埋めておくれ。」と言ったそうです。それは息子が、これまでずっと親の反対のことばかりをしていたので、山に埋めてくれと頼むと反対に海の岸に埋めるだろう、海の岸に埋めてくれと頼めばきっと山に埋めてくれるだろうと思ったからです。