海外研修 (LONDON 8日間)を終えて
 


海外研修に参加した文系フロンティアコース生の体験後の感想文より、一部を抜粋して紹介します。

 
 向こうでは買い物や授業といった日常生活すべてが勉強でした。社会でコミュニケーションをとるのがどれだけ大切かを学び、異民族に対する現地のひとのやさしさに触れることができた今回の研修は、自分にとってとてもいい経験でした。
 向こうでつらいとき支えとなったクラスのみんなや、先生方にはとても感謝しています。これらの気持ちを薄れさせることがないよう、将来に向けて頑張りたいです。

 

 
 
 ネイティブスピーカーの英語は授業での英語よりもはるかに速かったです。そこで、わかるまで聞き返すことにしたのですが、ホストファミリーは僕が聞き返す度にゆっくりと話してくれました。日本人は控えめだといいますが、わかるまでしつこく聞くことは大切であるとこのとき痛感しました。ホストファミリーとそろってテーブルにつき、食事をしながらお互いについて話し合い、日本の原発やNATOのことについてホストファミリーは理解してくれ、英語でコミュニケーションをすることの楽しさがわかりました。
 日本人は、たとえば「水泳はできるか。」と聞かれると、まぁある程度は、といった、遠回しにそれができると答える人が多いと思います。ところが、では、「英語は話せるか。」と聞かれると、先ほどの水泳の質問のようには答えません、むしろ「話せません。」と答える傾向にあるようです。では逆に外国人に、「日本語は話せるか。」と聞くと、面白いことに「はい、話せます」と答えます。とはいえ、なにを話せるかと聞くと、答えは「銭湯」だとか「忍者」といったようなものです。それは、日本語を話せるとはいわないと思うかもしれませんが、大事なことは、外国人の自信にあるのだと思います。結局、何を思ったのかというと「外国語」や「外国」といったものに対する意識のもちかたが、外国でやり過ごせるか、外国で生きていけるかに大きな影響をあたえているということです。

 

 
 
 いよいよファミリーとの初対面。たくさんいるファミリーの中のどの人が自分のホストマザーなのかと、緊張と不安を持ち合わせながら自分の名前が呼ばれるのを待っていたときのことは、とても印象強く残っています。
 ホストマザーとは毎晩日本のことを話しました。日本の文化を説明する際にそれを容易にしてくれたのが持参したアルバムでした。日本の庭や行事、和服などにとても興味を持ってくれ、会話も弾みました。ホストマザーはとてもよくしてくれて、一緒に過ごした時間は私にとってとても有意義なものとなりました。自分の生まれ育った土地を離れて初対面の方と日常生活を共にするということが私にとっては初めてのことで、とても新鮮で刺激的でした。イギリスの伝統的な料理や風習なども生活しながら身をもって体験することでより深く理解することができました。
 また、言っていることが聞き取れなかったとき、分かるまで根気よく説明してくれたことがよりよい関係を築く大きなきっかけになったと思います。わからないことがあったら遠慮せずに分かるまで教えてもらうという精神が海外ではとても重要だと思いました。

 

 
 
 日本人は「察しの文化」を重んじていて、相手を思いやってあまり自分の本心を表に出さないようにしています。一方でイギリス人は自分の意見をはっきりと持ち、相手の考えに疑問を感じれば納得するまで質問します。日本人の私は最初、ホストファミリーのやりとりに圧倒されてしまいました。私は今まで、少し疑問に思ったことでも、親や先生などから言われたことは何も言わずにやってきました。しかし私のホストファミリーの子供は、たとえ親に言われたことでも自分が疑問に思ったことは納得するまで聞き、全てを理解してから行動するようにしていました。そして親に今日はどこへ行きたいかと聞かれたときも、私なら「どこでもいいよ」と答えてしまうところを、ホストファミリーの子供は「ここに行きたい」という意見をちゃんともっていました。
 私は自分の意見を言わずに相手の言われるままに行動して失敗をしたことが何度かあります。私もイギリス人のように自分の意見をしっかり持って行動すればそういった失敗はなかったのだろうと思いました。

 

 
 
 1番印象に残っているのはケンブリッジ大学での日本人の方からの講演です。とても憧れました。彼らの話は、とても説得力があって、素直のアドバイスを受け入れることができました。強く感じたことは、私は井の中の蛙だということです。何も外の世界を知らずに自分の快適な場所にずっととどまっています。変わりたいと思いました。勉強の仕方から改めてみようと思います。今まではやらされている感がすごくあって作業みたいになっていたので。彼らの話を聞いて、学ぶことは喜びなのだと実感させられました。とても、勉強がしたくなりました。私は意志が弱くていつも、途中でやめてしまいます。この悪い癖を早く治したいです。留学は絶対にします!そのために、英語をもっと強化します!
 今回の、イギリスの研修で私自身大きく成長しました。世界の広さにただただ感動しました。高校生でこんな経験ができることは、とても幸せだと思います。これをバネにがんばります!
 

 
 
 「日本の方がGDPが上回っているのに、イギリスの方が世界から一目置かれている理由を見つけてきてほしい。」そう同窓会会長様から出発前日に言われました。たった8日間の短い時間でしたが、短い時間であったからこそ、貴重な塊となった思い出から、自分なりの3つの答えを見つけることができました。

 1つめは、グローバルな国家であることです。ケンブリッジ大学でも、ロンドン市街でも、街を歩けば顔立ち、肌色、人種が様々でした。そのことに最初は違和感を感じていましたが、そこにいる人達は国籍や人種は違っても、皆がwelcomeな態度で私達を受け入れてくださり、いつの間にか違和感や不安を感じなくなりました。
 ロンドンで大人気の飲食店を経営するShuko Odaさんが、ご講演で「日本人は、日本にいる外国人に対してまだ偏見を持っているので、それがなくなるまでは世界に通用できる訳がない。」とおっしゃったのを聞いて、日本が国際化から遅れていることを改めて感じました。

 2つめは、積極的な自己主張と他者の意見を尊重する姿勢です。私は滞在期間中に2家庭でホームステイをさせていただきましたが、どちらの家庭でも自分のYes, Noをはっきりさせなければいけない場面が多くありました。何度も紅茶を勧められ断れずに、辛い思いをして飲んでいたことや、夕食のときにホストファミリーに「食べきれなかったら残していいよ。」と言われたことで、日本人としての“気を使う”という姿勢に窮屈さを感じました。

 3つ目は、街の統一された美しさです。住宅をはじめ、多くの建物はレンガや石造りで、200年前に建てられた建物が「新しい」と言うくらい歴史ある建物が立ち並んでいました。日本とは異なり、1回建てた建物は永久に存在する、という意識があり、外見はそのままで室内だけをリフォームしたり、厳しい規制の上で新しい建物を建てたりと、古くからの景観と歴史を保つことに力をいれていました。家庭内でも美しく整えられた広々した庭で食事をしたり遊びまわったりと、家族共有の時間を大切にするイギリス人に対しても英国風の美を感じました。

 以上が私の見つけた答えです。イギリスに滞在したのは実質6日間だけの本当に短い間だったのですが、「絶対また来よう!」と思ったほどの楽しかった思い出ができ、そして私自身の将来の考え方も大きく変わり、海外で活躍する日本人と実際にお話しできたことで生まれて初めて私も海外で活躍したい、と感じました。
 このような自分の人生の大きな糧となった経験は、大きな機会が与えられたことと、自分自身が言語や文化の壁と不安に突き当たった勇気によって得られたと思います。七尾高校文系フロンティアコースの一員となれたこと、本当によかったです。