泉鏡花

明治六年(一八七三)〜昭和14年(1939)
石川県出身。尾崎紅葉の門下生となる。
「夜行巡査」「外科室」のヒット作で小説家として認められた。以来、「高野聖」など怪奇幻想の作風を築いた。

泉鏡花と医王山

昭和十六年三月に金沢市で開かれた「文学者と故郷」という講演会において室生犀星は「泉さんの小説には医王山とか、鞍が岳とか鶴来の方の自然などがよく描かれていて、黒百合とか片栗の花とかそういう山中に咲く花が書かれています。いつも、美しい山の精ともいわれるような女が、池のほとりに立っているようなきれいな文章であります。」と述べている。
 泉鏡花の作品の中で医王山を舞台としたものに有名な「薬草取」がある。また同様に、山の中の異世界を描いた作品には、「女仙前記」「きぬぎぬ川」「黒百合」「春昼」など枚挙のいとまもない。その幻想的な作品は各地の民間伝承・怪異談に題材をとるものもあったかもしれないが、もともと彼の生まれ育った金沢は「三州奇談」をはじめとする、伝説の宝庫であり、その志向は幼い頃から聞かされたこれらの伝説に起因しているのではないだろうか。

滝の白糸の像(浅野川) 湯島天満宮
鏡花の筆塚(湯島境内) 住居跡は今は駐車場
久保市乙剣宮(金沢市尾張町)
泉鏡花記念館
卯辰山の鏡花の句碑