演劇教育が拓く可能性とその成果
      舞台技術
 ドラマ

    ミュージカル


 可 能 性


      狂言

 郷土芸能
         ダンス
歌舞伎に挑戦
(中部高校演劇ワークショップより)
おっしょべ物語に出演
(リトルパインシヤター公演より)
 中島高校に演劇コースが設置されてから、5年目。5年間の教育実践を通して、演劇教育には以下の特性と可能性があることが分かりました。(学校長まとめ)

1  演劇は魔法

 「演劇は人を変える」といわれます。演劇は読書(台本読み)に始まり、さまざま 生き方を、また光景を疑似体験します。 そうした中で、おのずと自己変革の機会を得ることになります。 
                        <自分を変えたい人、集まれ>

2 鏡の自分、客観的な把握 

 演劇人には、自分の姿、動作がどうなっているか、鏡なしで見抜くことが求められます。自分の役割を客観的に把握することが求められる演劇は、己を知る大切な機会となります。
                      <自分を知りたい人、集まれ>


3 協力、役割、感謝の心

 1つの演劇を上演するには、多くの方々の協力と、役割をわきまえた協調性が必要になります。 主役から脇役、そして裏方まで、みんなが力を併せることの大切さと感謝の気持ちが育まれます。
                        <目立ちたい人、集まれ>

4 演劇は総合芸術

 演劇は演技あり、音楽あり、照明あり・・・と様々な分野で総合的に構成されます。人間のも つ5感性を磨き、創造性をはぐくみます。
                      <感性を磨きたい人、集まれ>

5 学習意欲の喚起

 演劇は様々なことを求めます。シナリオが歴史ものであれば、歴史を。またその背景をも知ら なければ、人の心を動かす演劇はできません。その中から、学校教育で各教科を学ぶことの必要性と意義が浮かび上がります。学習への動機づけとして大きな意味を持ちます。
                      <楽しく学びたい人、集まれ>

6 コミュニケーション能力の育成

 自分と違った立場で演技することで、従来の自分に出来なかったことが可能になり、そのう ち、自分に同化していきます。始め寡黙だった生徒が、見事に卒業公演をし、日常生活 も積極的になったという実例が多く確認できました。体を使って自己表現を学ぶことは自分の心 を伝えたり、相手の気持ちを理解したりするうえで効果があります。
                        <話し上手に成りたい人、集まれ>

7 心の教育

 今日”いじめ”への対応が教育界の課題になっていますが、いじめる側の生徒にいじめられる役を、またいじめられている側の生徒にいじめる役をさりげなく与えてドラマを演じると、それぞれの立場の心の動き、また動作について、客観的に把握することが必要になり、それぞれの立場が自然と理解できるということで、その解消が可能となります。
 演出家の原 田一樹さんは「演劇は他人になりきることである。他人の立場や心が理解できてこそ、本当の演技が可能となる」とおっしゃっておられます。演劇は、「心の教育」にも大きく貢献できると思われます。
                        <悩める人、集まれ>


 以上が、演劇教育の持つ可能性として考えられることがらです。今後、教育への演劇の導入は広まるものと考えられます。
 中島高校は、日本海側では唯一の演劇コースをもつ学校であります。今後とも、演劇教育の成果を全国に発信していきます。


 ホームステイの

      教育効果 
笑いの絶えない「演劇表現」の授業 2年生から始まる「狂言」の授業
 今年は、18名の生徒が中島町でホームステイしながら通学しています。親元から離れて暮らすストレスはあるものの、受け入れ家族との心の交流から感動的なエピソードが生まれます

1 ”可愛い子には旅をさせろ”の諺があります。親元での甘えた生活から自立することで、社会性が養われます。


   「Aちゃんが下宿した当初はアサシャンや風呂が長くて困った。初めは他人様の子と思い黙っていたが、そのうち預かっている以上、一緒にいるときは私が親だと思い注意しました。以後言うことなし。気持ちも優しいし、いい子ですよ」とのホストファミリーの方のお話。
 これに対して、親は「家にいるときもそうで、いつ言おうか、と思いつつも今まで言えなかったのです。有り難うございました」の返答。横には生徒本人が、てれくさそうにその会話を見守っていた。

2 核家族で育った生徒には新たな家庭体験となり、世代を超えた学習が可能となります。

   下宿している生徒で核家族で育った生徒には、おじいちゃん、おばあちゃんとの同居は新たな家族構成の体験となります。3世代家族のホストファミリー宅では、核家族宅では体験できないほほえましい光景が展開されています。ストーブや扇風機も実の子と同じ物を揃えるなど、我が子同様の配慮をして下さっています。

3 豊かな人情と恵まれた自然のなかで健やかな成長を可能にします。

   中学時代を東京の銀座で過ごした生徒が在籍しています。中島町で見る広くて丸い空を見たことがありませんでした。都会には、高いビルで切り取られた四角い空しかありません。彼女は、風光明媚な中島町の自然に癒され、また心優しい町の方々との交流を通して、めっぽうこの地が気にいったようで、意気揚々と高校生活を満喫しています。

4 高齢者の教育力で、若い親が啓発されています。

   ホストフアミリーと親が集う会があります。その場で、ホストファミリーから「休日を終えて私たちの所へ帰る時は、何時頃着くか電話を頂きたい。なぜなら時間が遅く、暗くなっておれば駅まで迎えに出たいから・・・」と。それぞれの立場から、親としての自覚が啓発される会話が展開されました。

5 卒業生との交流が人間関係を豊かにしています。

   卒業公演があります。卒業生が観劇に訪れます。その際、下宿を訪ねてくれて嬉しかったとのこと。また卒業生との家族ぐるみの交流で、祭りに招待されるなど、その後の交流もあり、ホストファミリーをしていて良かったとのことでした。