うのけのみんわ

昔、昔、あったと。
賀茂神社が鉢伏にあったときのことやった。
ある春の日。
加茂の神(かん)さまは、ふなになって、きれいな桃の木の花見を楽しんどったと。
そん時、急に風が吹いてきて、えんばな(運悪い)ことに、目に枝がささってしもたと。
神さまは目を押さえて、いんつくばった(うずくまった)と。
そこへ、ひょこっとふながあらわれて、わが目を一つ神さまに差し上げたがいと。
ほしたら、神さまの目の痛いがんがすうっと消えて、真っ暗でなんも見えんかった目も、もとどおり明るく見えるようになったと。
そのかわり、ふなのかた目は、白くかすれてだっちゃかんがになってしもたがやと。
それから、横山の不湖の池のふなは、かためっこになって、神さまに大事なかた目を差し上げたたいこな(立派な)ふなの住んどる池として、禁猟池になったがやと。
神さまは、このふなの真心をたいそう喜んで、鉢伏から横山の不湖の池のそばに移り住んだと。
また、そのあと、鉢伏の桃の木には、花は咲いても全然実がならんようになったといの。
それきりぶったりかんなます。あいてかんだらまあかったとさ。

参考文献『絵本 うのけの昔ばなし』(宇ノ気町教育委員会 平成12年発刊)




民話「かた目のふな」(共通語編)

かほく市横山にある不湖(ふご)の池には、かた目のふなが住んでいるという言い伝えがあります。
そのお話を共通語で音読しました。








民話「かた目のふな」(方言編)

かほく市横山にある不湖の池には、かた目のふなが住んでいるという言い伝えがあります。
そのお話をうのけの方言で音読しました。








不湖の池(ふごのいけ)

かほく市横山の不湖の池の全景です。
今でもたくさんの魚がすんでいます。
昔はここで、子どもたちがよく魚つりをして遊びました。